Lyric&Self liner-notes
1st mini album In your somnia
01.somnia
君が数える記憶はなんだっけ?
神様は僕らの匂いを食んだ
そうしてあらゆる記憶がなくなって
僕たちは絵画の海の中だ
淘汰、承認、教化 続く
もう誰もいないところ
等価原理 夜に消えていく
気体のように 眠れ
世界から堕ちる不条理を
正当化してよ
僕らが並べた嘘
あのね、なんだろ
言葉もないまま
ねぇどうかしてよ
息を呑む
仕組まれた命の中に
同じものはないでしょう
失えば記憶を辿る
なにもないと同じことだ 眠れ
世界から堕ちる不条理を
正当化してよ
僕らが並べた嘘
あのね、なんだろ
言葉もないまま
ねぇどうかしてよ
息を呑む
Self liner-notes
楽曲制作依頼をいただき、依頼者様オリジナルの小説をモチーフに制作した楽曲です。
神と人の間に生まれて神に捨てられた不死の少女…という設定の小説でした。ぼくたちも同じように世界から堕ちて、傷を舐め合っているよなと共感しながら歌詞を形にしました。
ちなみにsomniaはラテン語で夢です。
02.nostalgia
遍し記憶から逃げ出す
遠くで鳴り出す鐘
手牽く あなたを離して
私は明日がこわい
散々な毎日に飛び出したあの場所も
旧懐の情に成って ずっと溢れている
軽薄なニュースを今日も自覚していく
網膜に焼き付いた実世界
ねえ単純な仕組みでいたいだけなのに
意味もなくただ睡るだけの存在!
ただ彼方は遠く在って
忘れていく合間と知るんだ
それでいいよ 繰り返し 騙しあって
ベッドにこっそり潜ろうよ
ひとつ 夢の中ではぐれた
ふたつ 視線が伸びる先
手牽く あなたを思って
遠くで泣き出す それから何になる?
ねえ単純な仕組みでいたいだけなのに
意味もなくただ睡るだけの存在!
ただ彼方は遠く在って
忘れていく合間と知るんだ
それでいいよ 繰り返し 分かち合って
ベッドにこっそり潜ろうよ
遍し記憶から抜け出す
遠くで鳴り出す鐘
手牽く あなたを離して
私は明日を過ごす
Self liner-notes
ケーブル4K「マイクロシネマコンテスト」のMV部門の課題曲として制作依頼を頂き、形にしました。「ふるさと」をテーマにというご要望に応え、紡ぎ出した歌詞です。温かく「ふるさと」を書くつもりが、現実に打ちのめされ故郷に帰りたいという悲しい歌詞に…。時光代理人の第一話を思い浮かべながら歌詞を描きました。気になる人はぜひ(1話しか見てません)なお楽曲としてはギターとボーカル、シンセとベースが相反するキーを持っており独特の浮遊感を作り出しています。理論的に意図してたわけではなく後から知ったのですが、非常に気に入っています。
03.void
身体は冷えて
論客は私を離さないし
幸せの定義に乗っかった
奴等が騒ぐ夜を彷徨う
最低!
自己を擬えた音楽は疾うにくだらないし
我楽多の舟に乗っかって
悩みが消えるのならいいのにな
正しいことばだけが
巡る世界なんだったら
もう私は要らないし
眠るだけの世界ならば
欄干にもたれて、こんな気持ちには
ならずに済んだのかなって思うの
退屈な僕らは知ってるんだ
一人佇んで消えたライター
間隙を割いて君が言う
今日も夜は明けない
「連れてって」
回游の中で不安になって
実利を求めて胡乱になった
上手くいかなくてもいいんだぜ
ただ少しでも眠れるように願った
退屈な僕らは知ってるんだ
一人佇んで消えたライター
間隙を割いて君が言う
今日も夜は明けない
「連れてって」
簡潔な言葉を待ってたんだ
明日18:00に何処か行こうか?
上手くいかなくてもいいんだぜ
ただ少しでも眠れるように願った
Self liner-notes
空虚で心の中が満たされて、希死念慮に囚われた時にはどうあればいいのだろうかと考えながら作った曲です。「明日18時にどっかいこっか?」と、予定を入れてあなたが消えてしまわないようにと願いながら歌詞を書いた結構真面目な曲です。EAST OKLABのVo/syn.日置さんにレコーディング・ミックスしてもらいました。夜道で聴きながら歩くといい感じの曲。チルっていうやつを楽曲として目指しました。
04.orchard
失って気づいたの
本当のことなんか
僕らに意味はない
切り取った落書きと
重なった観客に
僕らは幸せになれない
聞こえないからもう見ない
まだ不確かなことでも
今あなたはとても美しい
夜が私に告げる
神とかいないでしょう
眠るたび目醒める
まだ続く試行を呪う
あーあ。
夜が私に告げる
神とかいないでしょう
眠るたび目醒める
日々疼く刺創管
夜が私に告げる
剥離は進んでいく
眠るたび目醒める
まだ続く思想を呪う
あーあ。
Self liner-notes
大学生の頃に作った曲を、リアレンジしました。キャッチーにするためにサビを5拍子固定にして突然転調するように変更。サビの強さに全振りしました。
高校生のときにoxford英和辞典の単語orchardに「死の象徴」と記載があり心に引っかかっていたため、ここで供養しました。宗教的にapple orchardは第二の楽園を意味するようです。
05.cinder
吃驚だった
見覚えない景色はずっと霞んでいて
君の世界に呼ばれた今日は
報せがあるとわかったんだ
懐旧の情は一瞬で絶えた
洒々落々で無関心なその顔
ずっと忘れられないよ
空理空論で綾なした
邂逅と秋扇の糸を手繰る
逆説的な夢想ではっとした
思い出の存在が急に怖くなって
視線を外す
灰になってゆくプシュケの不可逆性は
破れず僕は僕だろうか
ぶつかって われても末に指を交わして
二人せわしなく大人になった
逢わない方がいいよ きっと
灰になってしまった記憶の共有者は
金輪際変わらなくなった
間違って 直されて
生きていることは反面
まるで絵に描いたつぎはぎの舟
逢えない方がいいんだ ずっと
Self liner-notes
夢枕という不思議な現象と、テセウスの船と呼ばれるパラドックスが題材です。夢の中で死者と会えるかもしれませんが、死者は変化が止まっている一方、生者は変化し続けているので、この両者は話が噛み合わないだろうな…というお話です。
06.abyss
頽廃 来歴 夢のようだ
言えないような 気持ちは摘花
願ってないよ きっといつか
散々な章を世界は知っていた
感情だって消えるようだ
癒えないような気持ちは摘果
願ってないよ きっといつか
存在は疾うに欠いていた
ねえ君溺れそうだ
ただ 流るる瀬にいた
魄を睨む 私が泣いてた
言葉だけ意味を成さないようだ
怯える影を微かに抱いてさ
「君しかいない」
それだけで 生きる理由になった?
ねえ 君溺れそうだ
ただ 流るる瀬にいた
その意味を
ねえ 君溺れそうだ
ただ 流るる瀬にいた
夜が消える 窓が揺れてた
言葉では君を困らせるから
怯える影を 微かに抱いてた
それだけがもう全てだった
魄を睨む 私が泣いてた
言葉だけ意味を成さないようだ
怯える影を 微かに抱いてた
「君しかいない」
それだけで生きる理由になった?
Self liner-notes
漫画「少年のアビス」に着想を得て描きました。「メイドインアビス」にも奇跡的に歌詞がマッチしていますが、偶然です。「君しかいない」それだけで生きる理由になった? この一節から歌詞を広げていき、全てメロディに嵌ったお気に入りの曲です。でも、変則チューニングだし指弾きとピック弾きをセクションで使い分ける必要がある難易度が高い曲のためライブでは一番やりたくない。でも、好きな曲。
07.simulacre
拝啓
片手に春琴抄
祈りのように抱えている
罪刑なんてもう一緒
自白の夜に溺れている
同じ記憶 同じ歌を
違うみたいに踊り明かせ
隣にある同じ他を
恨んでは繰り返せ
時日を超える程の創造!
夢を見て睡るだけ!
期日も守れるから!
停滞の堰を切るから!
最低限の生活礼讃!
感情は澱のようだ!
Self liner-notes
速くて短いポップな曲を目指しました。
歌詞は谷崎潤一郎を崇拝するミニマリストをモチーフにしました。「春琴抄」は作品名そのままですが、生活礼賛というサビ終わりは「陰翳礼讃」からとってきました。ミニマルな建築家の方が好きな本です。